SPECIAL
INTERVIEW

スペシャルインタビュー

Ayumi Suneya
強谷 鮎美

ノンフィクションクリエイター

エスモードジャポンで学んだのち、エスモードパリ校へ。ウクライナ チェルノブイリ、ヨーロッパ、アメリカ、東南アジアなど、世界を旅した自身の体験を題材に服を作り、その過程で生まれたイラストや写真も表現の一つとして展示を行う。現在、年2回開催のパリファッションウィーク見学会「PARTAGER(パルタジェ)」を大坪研二氏とともに主宰。また途上国にある誰も知らない工房や素材を探し、農家から生産まで背景の情報をしっかりと消費者に伝えることを目的としたブランドを準備中。現在エチオピアの工場6社と契約中。

―現在の主な活動について教えてください。

色々やっている中の一つが、パリ留学の経験を生かした「パルタジェ」という、パリ ファッションウィーク見学会のコーディネイトです。ショーを見るだけでなく、バックステージ見学、アトリエ訪問、有名メゾンのデザイナーのトークショーなど、スペシャルな体験を提供しています。参加者の方には、具体的に海外で働くイメージを持ってもらえるのではないか、と思っています。私自身、クリエイションのインスピレーション源は、実際に現地に足を運んで得た情報、経験、人との繋がりだったりするので、今までにない旅のあり方を提案するという意味もありますし、ネット経由ではない本物のパリのファッション業界を体感してもらえたら、と思っています。

―パリ校留学の経験が今に生きているんですね。

元々「海外で仕事をしたい」「手に仕事をつけたい」という思いがあって、エスモードに入学したんです。当時から死生観がクリエイションの土台にあって、エシカル、サステナブルなことは当たり前のこととして捉えていました。

パリ校の学生だった頃、原子力発電所事故後のチェルノブイリに行って、写真詩集を作りました。その計画を話した時、モデリズムの先生がわざわざ校長に直談判してくださって、特別に休暇を取ることができたんです。そういう臨機応変さは、パリならではかもしれないですね。おかげで、「私は世界で起きている本当のことを何も知らないんだ」という、大事なことに気がつけました。そこから「世界中を旅して服を作りたい」というヴィジョンが一層濃いものになった気がしています。

―学生生活を振り返って印象深いことは何ですか?

日本では留学コースだったので、クラスメイトの半分は外国人だったんです。語学は全然ダメでしたが何とかコミュニケーションは取れたし、みんなの感情表現が豊かで、変に人のことを気にしないで自分は自分という雰囲気がすごく心地よかったですね。クラスが少人数ですし、学校全体に誰がいるかわかるくらいのアットホームな感じも好きでした。先生との距離感が近いのもあって、より密なクリエイションができたと思います。今も同級生とは連絡を取り合っていて、洋服の話を熱く語れる同志ですね。みんなの活躍が刺激になって、「まだまだ自分にも何かできる!」と思えるんです。だから、エスモードに入るみなさんには、同じ目標を持った仲間をずっと大切にして欲しいな、と思います。

―強谷さんの今後の展望について語っていただけますか?

今はエチオピアの人たちと作るブランドのローンチに向けて、農家や工場の開拓、技術指導の段階です。治安や貧困問題が取りざたされるエチオピアですが、私が実際に出会った市井の人々は温かくて純粋な人たちです。この人たちとなら一緒に服作りができると思いました。彼らが継続的に仕事を得られるようになるのが当面の目標。彼らの幸せにちゃんと向き合って、事業の大きさを考えていかないといけないと思っています。

途上国だと小ロットでもいろんなアイテムが作れますし、今までみたいな働き方じゃなく、新しいビジネスのありかたも模索していきたいですね。ファッションは、みんなが楽しめるもの。だから世界中でいろんな人と洋服を作って、カルチャーが生まれていく瞬間の空気を発信していけたらな、と思います。